将来に向けて資産形成を始めようとすると、「NISAってどんな制度?」「普通に投資する場合と何が違うの?」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。
NISAは、投資によって得られた利益を一定の条件のもとで非課税にできる制度です。通常、株式や投資信託などの売却益や配当・分配金には税金がかかりますが、NISA口座で対象商品に投資した場合は、制度の範囲内でこれらの利益が非課税になります。
現在のNISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、2つを併用することもできます。
一方、NISAを利用しても投資そのもののリスクがなくなるわけではありません。購入した金融商品の価格が下落すれば、元本割れする可能性もあります。
この記事では、NISAの基本的な仕組みから、つみたて投資枠と成長投資枠の違い、メリット・注意点、初心者が利用するときに知っておきたいポイントまで、わかりやすく解説します。
NISAとは?
NISA(少額投資非課税制度)は、個人の資産形成を支援するための税制優遇制度です。
通常、株式や投資信託などへの投資で得た売却益や配当・分配金には税金がかかります。一方、NISA口座で対象となる金融商品に投資した場合、制度で定められた範囲内で得た利益が非課税になります。
現在のNISA制度は2024年から始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つが設けられています。2つの投資枠は併用することができ、投資できる商品や年間投資枠などが異なります。
また、非課税保有期間は無期限となり、制度自体も恒久化されています。そのため、長期的な資産形成にも活用しやすい仕組みとなっています。
ただし、NISAは投資による利益を保証する制度ではありません。投資した商品の価格が下落すれば損失が発生する可能性があるため、商品の特徴やリスクを理解したうえで利用することが大切です。
NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の違い
現在のNISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあります。どちらもNISA口座を利用した非課税投資の仕組みですが、年間投資枠や購入できる金融商品などに違いがあります。
つみたて投資枠は、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託などが対象です。年間投資枠は120万円となっています。
一方、成長投資枠では、一定の条件を満たす上場株式や投資信託など、つみたて投資枠より幅広い商品へ投資できます。年間投資枠は240万円です。
2つの投資枠は併用できるため、年間では合計最大360万円まで投資できます。ただし、生涯にわたる非課税保有限度額は合計1,800万円で、そのうち成長投資枠で利用できるのは1,200万円までです。
また、NISA口座で保有している商品を売却した場合、その商品の取得額(簿価)分の非課税保有限度額は翌年以降に再利用できます。
それぞれの特徴を理解して、自分の投資目的や投資する商品に合わせて利用することが大切です。
つみたて投資枠とは?
つみたて投資枠は、長期・積立・分散投資による資産形成を目的としたNISAの投資枠です。
対象となるのは、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託などで、金融庁が定める基準を満たした商品に限られています。
年間投資枠は120万円です。毎月一定額を積み立てるなど、長期的に少しずつ資産形成を進めたい場合に利用できます。
対象商品が一定の基準を満たした投資信託などに限定されているため、投資を始めたばかりの人にとって商品を絞り込みやすいという特徴があります。
ただし、NISAを利用していても元本が保証されるわけではありません。投資信託などの価格は変動するため、購入した金額を下回る可能性があります。
商品を選ぶ際は、投資対象やリスク、信託報酬などのコストを確認し、自分の目的に合ったものを検討することが大切です。
成長投資枠とは?
成長投資枠は、つみたて投資枠よりも幅広い金融商品へ投資できるNISAの投資枠です。
年間投資枠は240万円で、一定の条件を満たす上場株式や投資信託などが対象となります。個別株への投資を考えている場合などにも利用できます。
ただし、すべての上場株式や投資信託が対象になるわけではありません。整理・監理銘柄や、信託期間が短いもの、毎月分配型の投資信託など、制度上対象外となる商品があります。
また、成長投資枠だけで利用できる非課税保有限度額は1,200万円までです。NISA全体の非課税保有限度額1,800万円の内数として管理されます。
つみたて投資枠と成長投資枠は併用できるため、たとえば、つみたて投資枠で投資信託を積み立てながら、成長投資枠で個別株などに投資することも可能です。
投資できる商品の選択肢が広い分、それぞれの商品の特徴やリスクを理解したうえで、自分の投資目的に合った商品を選ぶことが重要です。
NISAのメリット
NISAの大きな特徴は、制度の範囲内で投資によって得た利益を非課税にできることです。そのほか、長期的な資産形成に活用しやすい仕組みも設けられています。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。
投資による利益が非課税になる
通常、株式や投資信託などへの投資によって得た売却益や配当・分配金には税金がかかります。
一方、NISA口座で対象商品に投資した場合、制度で定められた範囲内で得た利益は非課税になります。
たとえば、購入した金融商品が値上がりして売却益が発生した場合でも、NISAの対象となる取引であれば、その利益に対する税負担を抑えることができます。
ただし、NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、受取方法などに条件があります。また、NISAの対象外となる商品や取引もあります。
NISAを利用する際は、非課税になる利益の種類や対象商品など、制度の条件を確認しておくことが大切です。
非課税保有期間が無期限
現在のNISAでは、非課税で金融商品を保有できる期間に期限がありません。
旧制度では非課税で保有できる期間が決められていましたが、2024年からのNISAでは非課税保有期間が無期限となりました。
そのため、「非課税期間が終了するから売却する」といった対応をする必要がなく、自分の資産形成の目的や運用方針に合わせて長期的に保有しやすくなっています。
長期間にわたって積立投資を続けたい場合にも活用しやすい制度といえるでしょう。
ただし、非課税保有期間が無期限だからといって、長く保有すれば必ず利益が出るわけではありません。金融商品の価格は変動するため、長期投資でも元本割れする可能性があります。
投資期間だけでなく、商品のリスクや自分の資金計画も考えながら利用することが大切です。
売却した分の非課税保有限度額を再利用できる
現在のNISAでは、NISA口座で保有している商品を売却すると、その商品の取得額(簿価)分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。
たとえば、NISA口座で100万円で購入した商品を売却した場合、その商品の売却時の価格ではなく、購入時の金額である100万円分の非課税保有限度額が翌年以降に復活します。
これにより、ライフイベントなどで一度資産を売却した場合でも、翌年以降に空いた非課税保有限度額を使って新たな投資を行うことができます。
ただし、売却した分がその年の年間投資枠に追加されるわけではありません。復活するのは翌年以降の非課税保有限度額であり、年間投資枠はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円のままです。
「売却すればその年に同じ金額を追加投資できる」という仕組みではない点に注意しましょう。
NISAのデメリット・注意点
NISAには税制上のメリットがありますが、利用すれば必ず資産が増えるわけではありません。投資である以上、損失が発生する可能性があります。また、NISA特有の注意点もあるため、利用する前に理解しておきましょう。
元本割れする可能性がある
NISAは投資によって得た利益を非課税にする制度であり、投資商品の元本を保証する制度ではありません。
株式や投資信託などの価格は、市場環境や経済状況などによって変動します。そのため、購入した価格より値下がりし、売却したときに損失が発生する可能性があります。
「NISAだから安全」「NISAを利用すれば必ず利益が出る」というわけではない点を理解しておくことが重要です。
投資する際は、生活費や近い将来に使う予定のお金まで投資に回すのではなく、当面使う予定のない余裕資金を基本に検討しましょう。
また、一つの商品だけに資金を集中させず、投資先や購入時期を分散するなど、リスクとの付き合い方を考えることも大切です。
NISA口座の損失は損益通算・繰越控除ができない
NISA口座で投資した商品を売却して損失が発生した場合、その損失は税務上なかったものとして扱われます。
そのため、NISA口座で発生した損失を、課税口座(特定口座や一般口座)で発生した利益と相殺する「損益通算」はできません。
また、上場株式等の譲渡損失について一定の条件を満たした場合に利用できる「繰越控除」についても、NISA口座で発生した損失は対象になりません。
NISAは利益が出た場合に非課税になるメリットがある一方、損失が発生した場合には課税口座と同じ税制上の扱いを受けられない点に注意が必要です。
NISAを利用するときは、非課税というメリットだけでなく、このような損失が発生した場合の仕組みも理解しておきましょう。
投資できる商品に制限がある
NISAでは、すべての金融商品に投資できるわけではありません。つみたて投資枠と成長投資枠では、それぞれ対象となる商品が定められています。
つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託などが対象となっており、基準を満たしていない商品には投資できません。
成長投資枠では上場株式や投資信託など幅広い商品が対象になりますが、整理・監理銘柄や一定の投資信託などは対象外です。
また、金融機関によって取り扱っている商品も異なるため、NISA口座を開設する金融機関を選ぶ際には、自分が投資したい商品を取り扱っているか確認することも重要です。
「NISA口座を開設してから投資したい商品がない」とならないよう、手数料やサービスだけでなく、商品ラインナップも比較して選びましょう。
NISAを始める前に確認したいポイント
NISAは長期的な資産形成に活用できる制度ですが、非課税という理由だけで投資を始めるのではなく、自分の資金状況や目的を整理しておくことが大切です。ここでは、NISAを始める前に確認しておきたいポイントを3つ紹介します。
投資の目的と期間を決める
まず、「何のために投資するのか」「いつ頃使う予定のお金なのか」を考えましょう。
たとえば、老後資金など長期間にわたって準備するお金と、数年後に必要になる住宅購入資金などでは、適した資産の持ち方が異なる場合があります。
株式や投資信託などは価格が変動するため、必要になったタイミングで価格が下落している可能性もあります。
近い将来に使う予定のお金や、日々の生活に必要なお金まで投資に回すのではなく、生活防衛資金などを確保したうえで、当面使う予定のない資金から検討することが大切です。
投資の目的と期間をあらかじめ整理しておくことで、自分に合った投資額や商品を考えやすくなります。
無理のない投資金額を決める
NISAには年間投資枠がありますが、上限まで投資する必要はありません。
投資金額は、毎月の収入や支出、貯蓄額などを考慮して、無理なく継続できる範囲で決めることが大切です。
投資にお金を回しすぎると、急な出費が必要になったときに生活資金が不足し、価格が下落しているタイミングで金融商品を売却しなければならなくなる可能性もあります。
特に投資初心者の場合は、少額から始めて値動きに慣れながら、自分の家計やリスク許容度に合わせて投資金額を調整していく方法もあります。
「年間投資枠を使い切ること」を目的にするのではなく、生活に支障が出ない範囲で長く続けられる金額を考えましょう。
金融機関と商品を比較して選ぶ
NISAを利用するには、銀行や証券会社などの金融機関でNISA口座を開設する必要があります。
金融機関によって、取り扱っている投資信託や株式などの商品、各種手数料、積立方法、ポイントサービス、アプリの使いやすさなどに違いがあります。
特に、自分が購入したい商品を取り扱っているかどうかは重要な確認ポイントです。つみたて投資枠を利用する場合でも、金融機関によって取り扱う対象商品は異なります。
また、NISA口座は同一年に複数の金融機関で利用することはできないため、口座を開設する前に比較しておくことが大切です。金融機関を変更することは可能ですが、手続きや時期に一定のルールがあります。
広告やキャンペーンだけで決めるのではなく、商品ラインナップやコスト、サービス内容などを比較して、自分の投資スタイルに合った金融機関を選びましょう。
NISAの始め方
NISAを利用するには、銀行や証券会社などの金融機関でNISA口座を開設し、投資する商品を選ぶ必要があります。基本的な流れを確認しておきましょう。
NISA口座を開設する金融機関を選ぶ
まず、NISA口座を開設する金融機関を選びます。
証券会社や銀行などによって、取り扱っている商品やサービス、各種手数料、積立方法などが異なります。
個別株への投資を考えている場合や、幅広い投資信託から選びたい場合など、自分がどのような投資をしたいのかによって適した金融機関も変わります。
商品ラインナップやコスト、使いやすさなどを比較し、自分の投資方針に合った金融機関を検討しましょう。
NISA口座を申し込む
金融機関を選んだら、NISA口座の開設を申し込みます。
申込みの際には、本人確認書類やマイナンバーを確認できる書類などが必要になります。必要な書類や手続き方法は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
NISA口座は税制上の優遇を受けられる口座であるため、金融機関での手続きに加えて、税務署による確認が行われます。
すでに別の金融機関でNISA口座を利用している場合や、金融機関を変更する場合には、通常の新規開設とは手続きが異なることがあります。
申込みから利用開始までに必要な期間も金融機関によって異なるため、実際に投資を始めたい時期が決まっている場合は、余裕を持って手続きを進めましょう。
投資する商品と金額を決める
NISA口座を利用できるようになったら、自分の投資目的やリスク許容度に合わせて、投資する商品と金額を決めます。
つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託などから商品を選びます。成長投資枠では、対象となる上場株式や投資信託など、より幅広い商品から選ぶことができます。
投資初心者の場合は、最初から大きな金額を投資するのではなく、家計に無理のない範囲で少額から積み立てる方法もあります。
商品を選ぶ際は、過去の値動きだけで判断せず、投資対象やリスク、信託報酬などのコストを確認することが大切です。
また、NISAの年間投資枠をすべて使い切る必要はありません。生活費や緊急時のための資金を確保したうえで、長期的に継続できる金額を設定しましょう。
NISA初心者が注意したいこと
NISAは資産形成に活用できる制度ですが、非課税というメリットだけを見て投資を始めるのではなく、投資そのもののリスクを理解しておくことが大切です。
特に注意したいのは、短期間の値動きだけを見て売買を繰り返さないことです。株式や投資信託の価格は日々変動するため、一時的に購入価格を下回ることもあります。
また、SNSやインターネット上で紹介されている「必ず上がる」「絶対に儲かる」といった情報だけを信用して投資商品を選ぶのは避けましょう。投資に元本保証はなく、将来の利益が確約されているわけではありません。
自分が理解できない商品へ無理に投資するのではなく、商品の仕組みや投資対象、リスク、コストなどを確認したうえで判断することが重要です。
NISAの非課税メリットを活用しながら、生活に必要なお金を確保し、自分が許容できる範囲で長期的な資産形成を考えていきましょう。
NISAを始める前に、資産形成の基本から理解しておきたい方は、「資産形成とは?初心者が知っておきたい基本と始め方をわかりやすく解説」もあわせてご覧ください。
貯金と投資の違いや、それぞれのメリット・デメリットを知りたい方は、「貯金と投資の違いとは?初心者向けにメリット・デメリットをわかりやすく解説」も参考にしてください。
まとめ|NISAの仕組みを理解して資産形成に活用しよう
NISAは、株式や投資信託などへの投資によって得た利益を、制度の範囲内で非課税にできる仕組みです。
現在のNISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、年間投資枠はそれぞれ120万円と240万円です。2つを併用でき、非課税保有限度額は合計1,800万円となっています。
非課税保有期間が無期限であることや、商品を売却した場合に取得額分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できることも特徴です。
一方、NISAを利用しても元本が保証されるわけではありません。投資した商品の価格が下落すれば損失が発生する可能性があり、NISA口座で発生した損失は課税口座との損益通算や繰越控除ができません。
NISAを始める際は、非課税というメリットだけで判断せず、投資の目的や期間、家計状況、商品のリスクなどを確認し、無理のない金額から資産形成を考えていきましょう。



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